水害対策は、普段の業務では意識されにくい仕事です。けれど、線状降水帯や台風などで雨の降り方が変わっている中では、総務が見逃せないテーマです。
止水板は、導入すれば終わりではありません。どこに置くか、誰が取り付けられるか、いつ設置するか、空振りだったときにどう受け止めるかまで考えておく必要があります。
この記事の要点
- 一つの入口だけでなく、事務所と倉庫の侵入口をまとめて止水板で守ります。
- 年1回の防災訓練で全社員が設置し、保管場所と判断基準を確認します。
- 空振りも必要な備えと説明し、設置負担が偏らない役割分担を見直します。
一人総務が意識したいのは、災害時だけでなく、平時にどこまで会社の動きを整えておけるかです。止水板はその代表例です。

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水害リスクは、見えたときには遅いことがある
最近は、短時間で強い雨が降ることがあります。昔なら大丈夫だった場所でも、側溝や排水溝の水があふれそうになることがあります。小さな側溝に泥が詰まり、水がたまることもあります。
水害は、起きてから考えると間に合いません。事務所、倉庫、商品、備品、サーバーなど、守るべきものが多いからです。特に商品やサーバーは、濡れてしまうと営業再開に大きな影響が出ます。
止水板は完全に守る道具ではありませんが、被害を少しでも和らげるための現実的な備えになります。完璧ではないから不要ではなく、完璧ではないからこそ他の対策と組み合わせます。
止水板は、一部ではなく全体を守る考え方で設置する

止水板は、どこか一箇所だけ守ればよいわけではありません。入口のどこかが開いていれば、そこから水が入ります。事務所だけ、倉庫だけというより、建物全体の侵入口をどう塞ぐかで考える必要があります。
私の会社でも、事務所や倉庫などを含めて全体を守る形で考えました。商品、備品、サーバーを守るには、入り口ごとの弱点を見て、まんべんなく対応する必要があります。
総務として見るべきなのは、守りたい場所ではなく、水が入ってくる場所です。この視点に切り替えると、止水板の保管場所や取り付け訓練の意味も見えやすくなります。
導入判断は、社長と会社のリスクとして決める
止水板の導入は、社内全員で合意形成するというより、災害時対応として社長に判断してもらう領域です。なぜ必要か、どのリスクを下げたいか、費用に見合うかを整理して伝えます。
水害対策は、使わない年の方が多いかもしれません。だからこそ、購入時には「もしものときに会社を止めないための備え」として説明する必要があります。
総務の役割は、危機感をあおることではなく、現実的なリスクと対策を並べて判断材料にすることです。判断は社長でも、材料づくりは総務の大切な仕事です。
社長へ伝える材料
浸水しそうな場所、守りたい商品や設備、過去に危なかった状況、購入費用、保管場所、設置に必要な人数を整理しておくと判断しやすくなります。

取り付け方は、一度説明しただけでは忘れる
止水板は、取り付けに少しコツがあります。一度説明しても、何も起きない期間が続くと忘れます。災害時に初めて説明書を読む状態では遅いです。
そのため、年に一回の防災訓練で、止水板の取り付け方を確認するようにしています。実際に触ることで、保管場所、向き、順番、必要な人数が分かります。
大切なのは、誰か一人が知っている状態にしないことです。水害のときに誰が会社にいるかは分かりません。複数の人が取り付けられる状態を作る必要があります。
- 止水板の保管場所を確認する
- 設置する入口を全員で見る
- 部品の向きや固定方法を実際に触る
- 設置に必要な人数と時間を確認する
- 設置後に通行や配送へ影響が出るか確認する
- 片付け方と乾燥・保管方法も確認する
空振りになる備えほど、社内説明が必要になる
止水板は、保険的に取り付けることがあります。結果として浸水しなければ「良かった」で終わりますが、設置した人にとっては負担です。何度も空振りが続くと、不満につながることがあります。
ここが総務として難しいところです。実際に被害が出なかったことは良いことですが、作業した人には負担が残ります。だから、設置判断の基準や役割分担を少しずつ整える必要があります。
空振りでも備える意味を説明することは、防災対策ではとても重要です。災害対応は、起きなかったときに評価されにくい仕事だからです。
保管場所は、担当者がいなくても分かる場所にする
止水板の保管場所は、分かりやすい場所にする必要があります。担当者が休みの日、責任者が不在の日、大雨が急に強まった日でも、誰かがすぐに取り出せなければ意味が薄くなります。
保管場所は、防災訓練で必ず確認します。普段使わないものほど、どこにあるかを忘れます。見える化して、迷わない状態を作ることが大切です。
一人総務の防災対策は、自分がいない日でも動く状態を作ることが重要です。属人化を減らすという意味でも、保管場所と手順の共有は外せません。
水害対策は、社内の意識づくりも含めた仕事
水害対策は、日々の売上や処理件数のように成果が見えません。だから、社員に重要性を理解してもらうのが難しいです。
しかし、会社を守る仕事には、見えにくいものが多いです。バックアップ、防災、保険、車両管理、社内ルール。どれも平常時には目立ちませんが、問題が起きたときに差が出ます。
総務は、普段は見えにくいリスクを、会社が動ける形へ変える仕事も担います。止水板は、その考え方を社内に共有するよい教材にもなります。
| 項目 | 総務が見るポイント | 目的 |
|---|---|---|
| 設置場所 | 水が入りそうな入口を確認する | 守り漏れを減らす |
| 保管場所 | 誰でも分かる場所に置く | 担当者不在でも動く |
| 訓練 | 年1回は実際に触る | 忘れを防ぐ |
| 設置判断 | 天気・水位・社長判断を整理する | 空振りを含めて判断する |
設置判断は、感覚だけにしない

止水板をいつ設置するかは、意外と難しい判断です。雨が強くなる前に動く必要がありますが、早すぎると業務の妨げになります。遅すぎると危険です。
実務では、天気予報、線状降水帯の情報、近くの側溝や排水溝の状態、過去に水がたまりやすかった場所を見ます。そのうえで、社長へ状況を伝え、設置するかを相談します。
大切なのは、担当者の勘だけで判断しないように、見る情報をあらかじめ決めておくことです。判断基準があると、空振りになったときも説明しやすくなります。
判断時に見る情報
大雨警報、降雨量予測、側溝の水位、過去の浸水しかけた場所、配送や来客への影響、設置に必要な人数を確認します。
公式情報の確認先:平時に国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトで事務所や倉庫周辺の災害リスクを確認し、市区町村が公表するハザードマップも合わせて見ます。設置当日は気象情報や周辺状況も確認し、地図だけで判断を完結させないようにします。
設置する人を固定しすぎない
実際には、止水板を設置する人が固定されがちです。慣れている人が動いた方が早いからです。ただ、その状態が続くと、一部の人に負担が偏ります。
水害対策は、会社全体を守る仕事です。設置が必要になったときに、毎回同じ人だけが動くと不満が出ます。特に空振りが続くと、負担感が強くなります。
防災は善意に頼りすぎると続きません。役割分担、訓練、保管場所の共有を通じて、複数人で動ける状態にしておく必要があります。
- 設置経験者を増やす
- 倉庫・事務所など場所ごとに担当候補を置く
- 重い部材は二人で持つルールにする
- 設置後の通行ルールも確認する
- 片付けまでを作業に含める
防災訓練後に、実際の不便を聞く
訓練は、やって終わりにすると形だけになります。実際に止水板を触った後、どこが分かりにくかったか、どの部品が重かったか、保管場所は取り出しやすいかを聞くことが大切です。
総務が作った手順は、作った本人には分かりやすく見えます。しかし、初めて触る社員には分かりにくいことがあります。知識が少ない人に合わせるほど、災害時に使える手順になります。
訓練後の感想は、防災マニュアルを優しくするための一次情報です。小さな不便を拾うことで、次の訓練が実践的になります。
水害対策は、商品・備品・サーバーを同時に守る視点が必要
水が入ると、商品や備品だけでなく、サーバー、ネットワーク機器、帳票、契約書類にも影響します。どれか一つだけを守ればよいわけではありません。
倉庫の商品が濡れれば売上に影響します。事務所のサーバーや書類が濡れれば、営業再開や請求処理に影響します。総務は、こうした影響を横断して見る必要があります。
水害対策は施設管理だけでなく、営業継続の対策でもあります。止水板の導入は、その入口として考えると説明しやすくなります。
| 守る対象 | 起きる影響 | 事前にできること |
|---|---|---|
| 商品 | 販売不能、廃棄、納品遅れ | 床置きを減らす、浸水経路を塞ぐ |
| 備品 | 業務再開の遅れ | 保管場所を見直す |
| サーバー | 基幹業務停止 | バックアップと設置場所を確認する |
| 書類 | 証憑や契約の確認不能 | 重要書類の保管方法を整える |
空振りを責めない文化を作る
防災対応は、空振りがある仕事です。止水板を設置したけれど浸水しなかった、早めに警戒したけれど雨が弱かった。そういうことは起こります。
しかし、空振りを責める雰囲気になると、次に本当に危ないときに判断が遅れます。設置する人も、言い出す人も動きにくくなります。
災害対応では、何も起きなかったことを失敗と見ないことが大切です。もちろん基準の見直しは必要ですが、備えたこと自体の意味は認める必要があります。
対策した理由を残しておくと、次の判断が早くなる
止水板のような防災対策は、導入したときの問題意識を忘れやすいです。なぜ必要だと感じたのか、どの場所に水がたまりそうだったのか、どの備品や商品を守りたかったのかを残しておくと、数年後の見直しで役立ちます。
担当者が変わったときにも、購入した理由や設置訓練を続ける理由が分かります。単なる備品ではなく、会社を守るための判断だったことが伝わります。
防災対策は、物を買うことよりも、判断の背景を残すことが大切です。背景が残っていれば、豪雨が増えたとき、建物の使い方が変わったとき、保管場所を変えるときにも次の判断がしやすくなります。
- 導入時に危ないと感じた場所
- 守りたい商品・設備・書類
- 設置に必要な人数と時間
- 訓練で分かりにくかった点
- 空振りだった場合の社内反応
- 次回までに直す保管場所や手順
一人総務では、自分が分かっていることほど記録から漏れます。しかし、防災は担当者がいない日に起きる可能性があります。だからこそ、判断した理由まで短く残しておくことが、会社全体の備えになります。
よくある質問
- Q止水板は全社員に説明すべきですか?
- A
少なくとも保管場所と基本的な設置イメージは共有した方がよいです。実際に設置する人が限られていても、災害時は誰が社内にいるか分からないためです。
- Q空振りが続くと不満が出ませんか?
- A
出る可能性があります。だからこそ、設置基準や役割分担を整理し、空振りでも会社を守る意味があることを訓練時に伝える必要があります。
- Q水害対策は総務の仕事ですか?
- A
会社によって違いますが、備品、建物、社内周知、防災訓練に関わるため総務が中心になることは多いです。社長判断と現場協力をつなぐ役割になります。
- Q止水板だけで十分ですか?
- A
十分とは限りません。保管物の高さ、サーバーやNASの配置、バックアップ、保険、避難判断などと組み合わせて考える必要があります。
まとめ
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